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2011年1月11日火曜日

Kindle3でGoogle eBooksから日本語の本を読む

Google eBooksが、Kindle3のWebブラウザから読める。まだ、日本では著作権切れの本が無料で読めるだけだが、日本語のものもあるようだ。
普通に、http://books.google.co.jp/ebooksから見ると、「Best of the free」と書かれた欄が表示されるだけで、英語の本しか表示されない。しかし、Google books (http://books.google.co.jp/books)から入ると、たくさんの本が表示される。中には日本語の本も見受けられる。
福沢諭吉の「兵論」などをkindleで読んでみるのもおもしろい。同じく福沢諭吉の「男女交際論」などというものもある。
少し変わったものとしては、「東京市教育施設復興図集」はいかがだろうか。関東大震災後復興した学校施設の写真集だ。当時の教師や生徒が小さく写っている写真もあり、時代を知る貴重な資料である。
また、同じ東京市でも商工課発行の出版物でおもしろいものがあった。「日用品の見別け方」という本だ。非売品となっているので、無料で配布されたようだ。
緒言を読むと、関東大震災後、物価が高騰する中で、東京市民が日用品を賢く選択することで物価をできるだけ低く抑える努力をして、個々人が価格調整の意識を持とうという趣旨で書かれた本のようだ。
内容は、ざっと流し読みするだけでもかなり興味深い情報に行き当たる。特に米不足の問題について、まずは、年々米の消費量が増していることを資料と共に指摘している。理由として、震災前の景気の上昇と共に、麦や粟と混食していた者たちの所得が上がり、白米を食べるようになったこと、更に、所得の上昇と共に酒の消費量が増したことを挙げている。おそらく東京市だけではなかっただろう。日本人の生活が正に向上しようというそのときである。
そして更に興味深いのは、米を増産するために稲の品種改良、肥料の研究等を進めているとの記述のあとに、直近の米不足を解消するために、朝鮮、台湾からの米の輸移入量を増加させると書かれているところだ。
朝鮮米は、日本からの指導により、内地の米とほとんど変わらずおいしいが、生活習慣の違いから、よく石が混入している。また、台湾米には石が混入していることはないが、気候の違いから稲の種類が違うので嗜好に合わないと書かれている。
しかし、このとき既に大阪市では米の消費量の8割を朝鮮米でまかなっているとも書かれている。
台湾米は二期作で収穫されるため、価格が内地米の約半分。これを風味は劣るといいながらも内地米と混用して価格を抑えようとの目論見のようだ。
当時の米不足は深刻だったようで、この本の中でも特にたくさんのページを割いている。
基本的には、米のほかに、豆、乾物、魚、肉、野菜、味噌、醤油、漬物、酒類、清涼飲料、など食品が主に紹介されているが、鍋、釜、バケツから、服地、靴下、スカーフ、下駄などの日常の消耗品、木炭などの燃料に至るまで、さまざまな物品の良し悪しの見分け方が説明されている。
第二次世界大戦前の近代化を続ける日本の姿を垣間見ることが出来る。

これから、有料の新刊本が買えるようになると、このような資料に目が行くことも少なくなると思う。
アメリカ文化の代表のようなKindleとGoogleが、書籍の電子化という流れをかき回してくれたおかげで、古い日本人の生活にめぐり合えた。

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